12月になると思い出す

しばらくブログを書いていないと思ったら、前回更新したのが7月だった。

8月から11月の間、何をしていたのかと言えば、鬼のように仕事が忙しくなり(ありがたいことです)、写真展とイベントを企画して実行したり、週末ともなれば電車であちこちの酒蔵やワイナリーに出かけて飲んだり、相変わらず色んなバンドのライブに行ったり行かなかったりしていた。

それで、12月になった。11月の末に私の誕生日があって、そのすぐ後に友人であるコジエさんの命日があったので、先週末はお墓参りに行ってきた。白い大きな百合を買って行った。コジエさんが好きだった花。駅前で、コジエさんと仲の良かった友達と落ち合った。電車の時間にギリギリだったので急いでいて、花屋で百合の花粉を取ってもらわずに持ってきてしまったことを話したら「そのまま持ってこうよ。本人が『も~、あんたはこんなことにも気がつかないの?』って言ってるのが目に浮かぶ。」と言うのであえてそのまま持って行くことにした。

線香やお花をあげて、献杯をして、お墓の前でみんなで集合写真を撮って、お墓の近くのほうとうのお店で飲んで、駅前のスーパーで山梨のお土産を買って帰った。三鷹でかいじをおりて、何人かで飲みなおして、ヘロヘロになって帰宅した。そういえばコジエさんとも長時間飲んでヘロヘロになっていた。高円寺の石狩亭で朝まで飲んでたね、石狩亭も火事で燃えちゃったよね。

またその話か。なんて自分でも思うほど、12月になると思い出す。しつこいくらいに思い出し続けていけばいいんだと思う。

相対性理論 @ 日本武道館

7月22日、日本武道館で開催された相対性理論のライブ『八角形』に行ってきました。

相対性理論のライブを観るのは初めてで、それどころかあまり曲を知らず(すみません)、しかも武道館に入るのも初めてということでちょっとソワソワしながら行ってきました。

色々思ったことはあるけれど、山口元輝さんがかっこよかった、これに尽きます。ライブ中、山口さんばかり見てしまいました。今まで自分がかっこいいと思うドラマーの1位は佐久間裕太さんだったのですが、このライブを機に山口さんが1位になりました。

なんてことをツイートしたら、それを見た某ミュージシャンの方*1が「佐久間君と山口君好きならこれがおすすめ」とこちらの動画を送ってくれました。大爆笑。

youtu.be

ライブとは直接関係ないのですが、人の縁って面白いなと思うこともいくつかあり、なかなか楽しい夜でした。 

 

*1:NRQ牧野君

MODULATION GYM @ 桜台Pool

久しぶりの更新になりました。

7月18日海の日に、MODULATION GYMというとんでもないライブイベントに行ってきましたのでその感想などを。

このイベントはTwitterでの告知を通して知り、カイライバンチとファミコン地獄の2組が出演するということで、2ヶ月ほど心待ちにしていたイベントでした。

カイライバンチは自作の武器みたいな楽器を使うアーティストです。去年の秩父4Dで見たパフォーマンスで頭をぶっ飛ばされるような衝撃を受け、これは絶対にまたライブで見たい!と思っていました。

もう1組のファミコン地獄は、ファミコンを改造した「ファミトロン」という楽器とドラムのユニットです。ファミコンをギターみたいに改造していて、本物のファミカセを差して演奏するんですよ。そんなの見たいに決まってるじゃないですか。

ちなみにファミトロンを作り、演奏しているのは、Kaseoさんという方。代表作(?)のピカチュウのおもちゃを改造した「ピカルミン」は、我が家にもあります。 

少し遅れて会場に到着したところ、既に1組目のHALBACHが最後の曲を演奏中で、あまり堪能できない間にすぐ終わってしまいました。

次がファミコン地獄。演奏前、おもむろに「名刺でーす」と言ってファミカセを配り始めるKaseoさん。カセットのラベル部分に「ファミコン地獄」のステッカーが貼ってあり、何のゲームなのかわからないようになっていて、裏には32円の値札シールがついていました。

演奏が始まると、プロジェクターでゲームのスタート画面が投影されます。その後バグ画面に切り替わり、激しいノイズとノリノリのドラム!!!

ゲームの名称がそのまま曲名になっていて、1曲ごとにカセットを差し替える方式です。曲が変わるたびにゲーム画面が表示されて大盛り上がりでした。さらに、実際に演奏を聴く前はファミトロンばかりに気を取られていましたが、ドラムがまたいいんです。ドラマー炭酸さんの演奏中の笑顔は若干の狂気を感じさせ、それも魅力でした。

名古屋在住のユニットということで東京で観られる機会はあまりないかもしれませんが、ぜひまたライブを観たいです。

当日の 演奏の様子は下のYouTube動画で見れます。


ファミコン地獄@MODULATION GYM

次は「顔がない」というバンド。これは後ろの方にいたので最初は何をしているのかよく見えなかったのですが、鉄板をガンガン叩いたり、火花をまき散らしたり、何かを炎上させて室内がものすごい匂いに。。。危険なのと頭が痛くなりそうだったので途中で退室しました。Twitterでも投稿しましたが、どうもメンバーと最前列の人に火が燃え移ったらしく、演奏後にファンの人たちが「ナイロンは危ないよね」とか服の素材について語っていたのが印象的でした。

そんな恐ろしいパフォーマンスの次はWUUUNというユニット。実は今回のイベントはこのWUUUNさんのレコ発企画だったようです。ネット素材の全身タイツのようなものを纏い、ストロボが点滅する中で、曲にあわせて買い物かごをかぶったりスニーカーを頭に乗せたりと、ほのぼのしたパフォーマンス。恐ろしいものを見たあとのトラウマが癒されます。

最後はカイライバンチ。初めてパフォーマンスを観たときには武器から炎を放つインパクトが強すぎてイロモノ的な印象があったのですが、2回目にしてそれがショーとして計算しつくされ、洗練された美しいパフォーマンスであることに気が付きました。例の「タイガー株式会社」の反応が若干悪かったのはご愛嬌。もちろんガス銃をぶっ放していて、客席からすごい歓声が上がっていましたが、同じ火を使ったパフォーマンスでも「顔がない」と比べたらずっと安全だ、という妙な安心感がありました。

完全なるカイライバンチの世界を作り上げていて、ご本人のルックスも雰囲気にぴったりで、本当にかっこよかったです。

下の動画はカイライバンチが使っている楽器の一部です。 

youtu.be

oono yuukiのライブと『夜と火』

重たい腰を上げた。

そんな気分だった。先週の木曜日に、初めてoono yuukiのライブを観に行ってきた。

これまでもライブに誘われていたのに、なんとなく行っていなかったのは、スケジュールがあわなかったのが主な理由ではあるけれど、それと同時に、YouTubeで動画を観ても、いまいちピンとこなかったからというのもある。失礼な話。

ギターの弾き語りライブを聴くのは、正面から向かい合わなくてはいけないような気がしてしまって、ちょっとハードルが高い。全然行きたくないわけではないんだけど、少し心の準備がいるなあと思っていた。

 


HIRAKESAISAKI「motor park」oono yuuki

 

実際にライブを観たら、がらりと印象が変わった。

ステージに立ち、オレンジ色の照明に照らされて歌うoono yuukiは、深々とした雰囲気を湛えていた。緊張しているのか、それとも集中しているのか。ああ、この人は目の前に存在しているな、という感じで、「正面から向かい合わなくてはいけない」というよりも、もう向かい合わざるを得なかった。

夜中に人気のない道を散歩していたら、だんだんと空が白んできた。歌を聴きながらそんな情景が浮かんだ。とても良いライブだった。

 

ライブが終わった後、物販で本人からCDを買った。「すごく良かったです」と言ったら、うれしそうな顔をしてくれた。

 

家に帰って、アルバム『夜と火』を聴いた。次の日も、その次の日も聴いた。誰か大切な人を亡くして、悲しみ尽くしたあとみたいな歌だ。聴けば聴くほどそんな風に思うようになった。

アルバムのおまけで配っていた冊子に、2013年に病で倒れてバンドを辞め、旅をして、それからアルバムを作ったという漫画が描いてあった。2014年には麓健一さんと東北ツアーに行き、私の出身地でもライブをしたようだ(なぜあんな何もないところに行ったんだろう)。そのライブもアルバムを作る旅の途中だったとすれば、oono yuukiがこのアルバムのことを考えながら、私の知っている道を歩いたのかもしれない。

 

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余談ですが、ライブを観て家に帰った後で夫に真っ先に述べた感想は

「oono yuukiはギターを持っている位置が高い」

でした。夫は「ジョン・レノンポジションじゃん!牧野君(夫の友達)がそれやってたよ!」と言い、その後ふたりでジョン・レノンの画像検索などを愉しみました。

 

高円寺を歩いた

コジエさんが亡くなって、1年とちょっとが過ぎた。

コジエさんとは、高円寺にあったセピアという飲み屋で知り合い、一時は毎週飲んでいたし、一緒にガンプラを作ったり、数人のメンバーと共にミート部と称して頻繁に焼き肉を食べたりしていた。バリ島にも旅行した。ある時コジエさんは山梨に引越し、そのちょっと後でわたしはカナダに引越して、ここ4年くらいは直接会うことはなくSNSだけでやり取りをしていた。

亡くなる前の数年間は会っていないから、わたしの記憶の中のコジエさんは高円寺にいる。1回目の命日の直後の週末、わたしは高円寺でコジエさんと一緒に歩いた道を歩き、一緒に行った店に行ってみることにした。

 

とりあえず、どこを歩くか考えようと思ってBONYに行った。

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BONYには一緒に行ったことがないけれども、この店の前を何千往復したかわからないくらい通った。

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カプチーノを飲みながらiPhoneミクシィのコジエさんの日記をこれでもかこれでもかと読んだ。

最初に行ったのはPal商店街、石狩亭の跡地。

この店は朝10時までやっていて、よく飲みに行ったけれども、火事でなくなってしまった。

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石狩亭については、山下陽光くんが火事になった時のことをブログに書いている。この記事を読むと石狩亭がどんなお店だったのか少しわかると思う。

blog.goo.ne.jp

その記事の内容を踏まえたうえで、コジエさんが石狩亭の火災について「言葉が死んだ日」というブログ記事を書いている。

getr.jugem.jp

それから、下田ビルのあった辺りへ。正確な跡地がはっきりと思い出せなかったけどたぶんこのあたり。

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昔、下田ビルの2階に凹凹というスペースがあり、そこのベランダから阿波踊りを見るというイベントに、コジエさんを含む5人くらいで一緒に参加した。

下田ビルは5-6年前に老朽化で建て替えられてしまった。

 

その後、おすぎと高円寺駅前のYonchome Cafeで合流した。

コジエさんの吸っていた煙草。

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 コーヒーを飲んだあとは庚申通りにある「安くて旨いから」という理由でよく行ったタイ料理の店へ。

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コジエさんはパクチーが好きだった。タイ料理とか、エスニックフードと言われるような東南アジア諸国の料理が好きだった。

ビールを飲んで、タイ料理を食べながら、おすぎと2人でコジエさんの話をした。コジエさんの話と、コジエさんの訃報を聞いたときの話、それから、コジエさんと一緒に遊んでいた時の話。

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おすぎは以前高円寺(厳密には中野区)に住んでいて、鍋をしたり、おすぎが自宅でカフェを開催するというイベントをやったりしていた。

ご飯を食べたあと、おすぎが前に住んでいた場所を見に行くことにした。

なくなってたらどうしよう?なんかドキドキするなー。と言いながらその場所に行ってみたら、やっぱりというべきなのか、おすぎが住んでいた建物は残っておらず、新しい家が建っていた。

切ないような、残念なような気持ちで、馬橋通りへ進んだ。

次に向かったのは、バルデラマという古着屋さん。

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お店の中に入って、店主の本田さんにコジエさんとの思い出を聞いてみたら、一緒にageHaのイベントに連れてってもらったことが一番の思い出だと言っていた。

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それからわたしたちは北仲通り商店街の方へ進んだ。

本田さんのお店のすぐ近くには、以前、セピアという飲み屋があった。おすぎも、わたしも、その店でコジエさんと知り合って仲良くなった。

セピアで飲んでいる最中にちょっと本田さんの店を訪れて立ち話をするということも結構あった。

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セピアのあった場所には、もう別の建物が建っている。

おすぎやわたしだけでなく、高円寺のつながりでコジエさんと出会ったという人の多くが、セピアで一緒に飲んだという思い出を共有している。

セピアのドアを開けた時、客席にコジエさんがいると嬉しかった。セピアというお店が色んな人を結び付けてくれたし、英会話教室やガンプラ部や鍋会や、馬橋映画祭といったイベントが始まるきっかけの場所になっていたように思う。

わたしの中では、セピアという店が、コジエさんのことを思い出す時には切り離せない存在になっている。

 

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素人の乱5号店。

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やぶそば。

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看板が光ってしまって読みにくいけど、食べ放題焼き肉のガッツ・ソウル。

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商店街の入り口。

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ケンタッキー前(場所っプ)。コジエさんはここで何人かと一緒に上半身裸になっていた。

 

同じところを何回かぐるぐると回ったりもしたけれど、これで高円寺散策を終了にした。

インターネットで探せば、コジエさんの残した文章や動画を見つけることができる。そうやって過去のコジエさんの情報には触れることができるけど、コジエさんはもうここにはいない。

コジエさんはいないけど、高円寺を歩いていると、突然「あ、ここでコジエさんとこんな話したなー」と思い出すことがある。そんな時はコジエさんと一緒にいるような気持ちになる。一緒にいるような気持ちになったすぐあとで、でもやっぱりもういないんだと気付いて悲しくなる。

今回歩きながら、コジエさんにはたくさんの友達がいて、その人1人1人に、違ったコジエさん像というのがあり、違ったコジエさんとの思い出があることを考えていた。わたしにとっては高円寺で過ごした時間が一番多かったけど、新宿だという人もいるだろうし、山梨だという人もいるだろうし、時間や土地では区切れないくらいずっと一緒だった人もいるだろう。もしも機会があったら、コジエさんとどんな時間を過ごしたのか、色んな人に聞いてみたい。

 

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このブログ記事を書くにあたって、山下陽光くんの次の記事を参考にしました。

 

blog.goo.ne.jp