弾丸一時帰国日記 その1

4日間だけ日本に帰国した。

 

いつもはマイルの関係でANAかエアカナダを利用しているけれど、今回は急いで航空券を手配する必要があったため直行便の中で一番安価だったJAL便にした。ちょうど旧正月にあたるためか、往路も復路も1日ずれると料金がかなり上がる。高い料金に挟まれ、エアポケットのように金額の下がるタイミングを選んで渡航することにした。

 

行きの飛行機では隣の席にインド出身の女性が座っていた。CAさんに飲み物は何が良いかと聞かれて梅酒をリクエストしていた。CAさんから飲み方はどうするか尋ねられると、初めて頼むので何が良いかわからないと言うので、ソーダ割りがさっぱりしていいですよと横から口を挟んだ。

 

それから会話が始まった。女性は52歳で、息子2人の教育のために母子3人でカナダに移民したのだという。夫はインドで地方議員をしており、彼女曰く「彼には政治家しかできないから」移民はしなかったのだそうだ。上の息子は現在インドに戻って働いており、下の息子はもうすぐ大学を卒業して会計士になるという。もう息子たちに手がかからないので、夫に会うために年に何度かインドに帰国しているらしい。バンクーバーからニューデリーへは直行便もあるが、いつも成田を経由して、成田のホテルで1泊してから向かうのだそう。この人かなりお金持ちなんだろうな。

 

日本の食べ物が好きで、寿司も息子と一緒によく食べに行くし、日本風のカレーも美味しいと思う、と言っていた。そうそう、日本風のカレーは、あれはあれで美味しいとこちらでは結構人気がある。ほかに好きな日本食はたこ焼きで、成田のイオンのフードコートで食べたのが美味しかったと言っていた。まさかカナダ在住のインド人から「イオンのフードコート」などという言葉を聞くとは。

 

私は1人で飛行機に乗ると、隣の人と会話することが多い。

 

いつも狭いエコノミー席で移動しているから、トイレに立つにしても機内食のトレイを片づけるにしても、何かしら隣の人と友好的な雰囲気を作っておいたほうが、快適に過ごせる。機内で税関や入国審査の書類を記入する時にペンを持っていなかったら、貸してもらえませんかと言いやすくなるし。

 

でも理由はそれだけではなく、今回のように、普段は出会うきっかけのない人のストーリーを聞くのが楽しいからでもある。飛行機を降りる時、ハグをして互いに旅の安全を祈って別れた。もう会うことはないかもしれないけれど、たこ焼きを食べるたびに彼女のことを思い出すだろう。