2023年まとめ

2023年もまもなく終わります。おせち作りも少し落ち着いたので、トピック別に今年1年を振り返ってみました。昨年11月末に40歳になり、2023年の大半は40代の最初の1年目として過ごしました。人生も折り返し地点であり、「やりたいと思ったことは元気なうちにやってみよう」と思いながら過ごした1年でした。つらつらと書いていたらとっても長くなってしまったので目次を付けます。

 

旅行

今年は山口、大阪、長野、長崎、新潟に行きました。一番思い出に残っているのは長崎・五島列島福江島です。かくれキリシタン潜伏キリシタンに興味があり、20年ほど前からなんとなくいつか行ってみたいなと思っていた場所だったので長年の念願がかないました。今年イベントで福江島に住んでいる方(福江島で「ばびの部屋」というカラオケスナックを経営されているばびさん)と知り合って意気投合したこと、さらに仲の良い友達も福江島に行きたいと言っていたことから、友達と2人で訪れることにしました。滞在中はばびさんに色々な場所へと案内してもらい、美味しいお店も教えていただき、ずっとお世話になりっぱなしでした。島では景色を見て、かつて禁教の時代に五島の地へ逃れてきたキリシタンの人たちも同じ海や崖を見ていたのかなと思いを馳せました。堂崎教会キリシタン資料館では、本で読んで知っていたけれども実物を見たことがなかったマリア観音キリシタンであることが知られないよう、観音像を聖母マリアに見立てて祈祷していた)や手書きのバスチャン歴(いつ何を祝うのかが記された教会暦で、知らない人が見たり聞いたりしてもわからないようになっている)、オラショ(口承で伝えられてきた祈りの言葉)などを見ることができました。また、食の面も充実した旅で、五島牛五島うどんも美味しかったですし、島で食べた魚介類はどれも美味しく、自分が今まで食べた中で一番美味しいのではないかと思うほどでした。ただ残念ながら福江島には世界遺産登録された場所はないため、今度は五島列島の別の島を訪れて世界遺産を巡ってみたいと思います。

今年はあまりたくさん本を読めなかったように思いますが、特に記録を残しているわけではないので何冊読んだのかわかりません。来年からは読書記録を書き残してみます。

今年読んだ本の中で一番面白かったのは宮本ゆき著『なぜ原爆が悪ではないのか アメリカの核意識』です。筆者は広島出身の被爆二世で、シカゴ大で修士号と博士号を取得し、現在はシカゴのデュポール大学で被爆被害と倫理に関する研究を行いながら倫理学を教えている研究者の方です。この本を読んだきっかけは Barbenheimer が日本で炎上したことでした。インターネットで自分が見ていた範囲において、日本では Barbenheimer のミームに対する抗議の声が多数上がっていたにもかかわらず、ミームの出所であるアメリカの人たちには抗議の声が響いていないように見えました。東京五輪開催中に五輪取材で東京に滞在していたアメリカ人記者が日本のコンビニで売っているたまごサンドの写真をツイートしたのに対して、その同僚が「Looks radioactive」と返信したことが炎上したときにも同じような印象を受けていたことを思い出し、その背景にはおそらく歴史教育の違いがあるのではないかと思いました。この本では教育だけでなくアメリカと日本における核や戦争、軍隊に対する意識やナラティブの違いについて説明されています。書かれているある程度のことは知識や体感として知っていましたが、それ以上に衝撃を受けた内容も多く、勉強になった本でした。

また、この本を読んでいた時期に、偶然にも本の表紙として作品の写真が使用されている蔡國強の展示が国立新美術館で開催されていました。蔡國強は火薬を使った作品で知られる芸術家です。2007年に現代美術を通して世界へ平和を訴えた芸術家に贈られる「ヒロシマ賞」を受賞し、翌2008年には原爆ドーム上に黒い煙を打ち上げる「黒い花火」*1という作品を発表しています。そんな作家ですが、アメリカでは核連鎖反応の実験が成功したことを祝うような作品を制作しています(表紙の写真)。本の中でも詳しく書かれていますが、この2つの作品の違いが日米における核意識の違いを象徴していると感じました。展示を見た限りでは、蔡國強本人は単に爆発させるのが好きな人という印象を持ちましたので、作風の違いは委託元の意図が強く反映されているのではないかと思います。

音楽

今年良かったアルバムはパソコン音楽クラブの『FINE LINE』とoono yuuki bandの『GREENISH BLUE, BLUISH GREEN』でした。今気付いたけど、どちらもレコ発ライブにも行ってました。パソコン音楽クラブのライブはchelmicoや髙橋芽以さんなどアルバムに参加しているアーティストがゲストで出演していたほか、アンコールにはシークレットゲストとしてミツメの川辺素さんが出演して、前作のアルバムで川辺さんがボーカルとして参加した曲を披露するというサプライズもあり、最初から最後まで超絶楽しかったです。oono yuuki bandは11年ぶりのアルバムリリースで、待った甲斐があったなと思える本当にすばらしい作品です。レコ発ライブは折坂悠太さんとの対バンで、ライブを見るのは2回目(2021年のNRQとの対バン以来)でした。音のエネルギーが渦巻いているような、とてつもない演奏で、ライブのあと数日余韻が続きました。

GREENISH BLUE,BLUISH GREEN [LHCD001]

GREENISH BLUE,BLUISH GREEN [LHCD001]

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サッカー

私はサッカー観戦が好きで、熱狂的なサポーターというわけではありませんが、JリーグではFC東京を応援しています。さらに、サッカーというスポーツを取りまく社会的・政治的な事柄にも興味を持っています。そんな私にとってサッカー関連で今年一番の出来事だったのは、オーストラリアとニュージーランドで共同開催された女子ワールドカップでした。今大会の日本代表(なでしこジャパン)は招集された選手全員がスタメンで戦えるような層の厚いチームで、プレーを見ていて本当に楽しかったです。日本国内では女子ワールドカップのテレビ放映が直前まで決まらないという問題もあり、スポーツにおけるジェンダーの差についても改めて考える機会となりました。(スポーツ以外のほかの分野にも共通していることだと思いますが、スポーツとジェンダーについて語ると「ジェンダーの問題にするな」と言う人も少なくありません。この点について議論するには私は知識が足りないと感じているので、今後勉強し続けていきたい分野です。)

現地観戦はあまりしないのですが、今年はそれでも高校サッカー選手権1回(等々力開催の3回戦)、FC東京戦4回(4/15のセレッソ戦、5/12の多摩川クラシコ@国立、7/16の鹿島戦、9/23の鳥栖戦)WEリーグ1回(レッズレディース対マイナビ仙台)、日本代表戦1回(日本対カナダ)、甲府ACL国立ホーム戦2回と数えてみたらわりと行っていました。来年はWEリーグをもっと見たいですが、FC東京が女子チームを持っていないのでどこを応援するか迷っているところです。近場のチームを応援したい気持ちがあるものの、なんとなく、ベレーザや浦和を応援するのは気が引けてしまいます。

ドラマシリーズ

ここ数年ずっと「サブスク貧乏」になりかねないほどNetflixApple TV+、Amazon Prime、Disney+など多数の配信サービスに加入していて、毎日何かしらの番組を視聴しています。たくさん見た中で今年一番だったのは、Apple TV+配信のコメディドラマ『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』の第3シーズンでした。アメフトのコーチがプレミアリーグ(イギリスのトップレベルのプロサッカーリーグ)のチームのコーチとしてロンドンに招聘されるというありえない設定ですが、文化の違いや家族とのすれ違い、メンタルヘルスの問題などを取り上げた、笑いあり涙ありのコメディです。日本ではそこまで人気がないかもしれませんがアメリカでは非常に人気が高く、キャストがホワイトハウスに呼ばれたほどです。特に、最終シーズンとなった第3シーズンは心に響くエピソードが多く、ほぼ毎回のように泣いてしまいました。

アイスショー

友達との忘年会で「今年一番感動したことは?」という話になり、真っ先に頭に浮かんだのは今年の4月に母と2人で行ったアイスショー「Stars On Ice」で見た羽生結弦さんのパフォーマンスでした。出演者は世界選手権の金メダリストが勢ぞろいした豪華なメンバーで、みなさんすばらしかったです。島田麻央さんも見れたし、坂本花織さんの名プログラム「マトリックス」も見れたし、大好きなマディソン・チョックさんの美しさにうっとりとしてしまいました。観客席には遠方から来ていた羽生さんファンの方が多く、最後に羽生さんが出てきたときにはこれまでにないほど会場が盛り上がり、正直ちょっと引きました。でも演技が始まったらもう、ぐいぐいと引き込まれるように見入ってしまいました。プログラムは「オペラ座の怪人」。指先まで計算され尽くした動きで、その全身で物語を表現している。そう感じました。なんというか、羽生さんに対しては、現役の選手だった時代から「孤高の存在」という印象があり「この人はもはや自分としか戦ってないんだな」と思っていましたが、初めてご本人を見て思ったことは「美しい」とか「かっこいい」とかではなく、「ありがたい」でした。羽生さんのおかげで確実に3日は寿命が延びたはずです。色々な報道があってご本人は大変そうな1年でしたが、この先も表現を追求し続けてほしいです。

ル・ポールのドラァグ・レース関連イベント

Last but not leastです。『ル・ポールのドラァグ・レース』を初めて見たのは2015年ごろでしたが、今年は初めてドラァグ・レースに出演したドラァグクイーンが出演するショー*2を見に行きました。それも3回も。日本独自企画「Opulence」の第2回と第3回とドラァグ・レースの公式ワールドツアー「Werq the World」の日本公演に行き、Opulenceの方はどちらもミート&グリートにも参加しました。実際に動いてパフォーマンスしている姿を見れるだけでも貴重なのに、本人と直接会話することもできるなんて…。どのイベントも良かったですが一番は「Opulence」の第3回かな。マニラ・ルゾンがとっても優しかったです。

また、ファンの方たちのコミュニティが形成されていて、そこで自主的に「みんなでお金を出し合って会場にスタンド花を贈ろう」とか、「ミーグリ前に緊張がほぐれるようにオフ会しよう」とか、イベントの会場で久しぶりに再会できるといった環境があるのもうれしいところです。今までこういった趣味を中心としたコミュニティに参加したことがなかったので新鮮です。五島旅行でお世話になったばびさんともこのコミュニティで知り合いました。イベントを通してたくさんの新しい出会いに恵まれた1年でもありました。

最後に

大半の時間は自宅のパソコンの前で仕事をしていたので、運動不足・引きこもりの1年だったという印象がありましたが、こうして1年のハイライトを振り返ってみるとなかなかアクティブに過ごした1年だったかなと思います。今年は夫婦ともに結婚記念日を忘れるというアクシデントもありましたが、毎日円満に過ごすことができました。また、夫がコロナにかかったり、私が肺炎になったりと色々ありましたが入院するような大病はなく概ね健康に過ごすことができました。来年も心身ともに健康に過ごしていきたいです。来年やりたいことはまた別途、明日以降にまとめてみたいと思います。今日はこれから『Renaissance: A Film by Beyonce』を見て今年1年をしめくくります。お世話になったみなさまありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

*1:話が逸れますが、Chim↑Pomの「ピカッ」はあんなに叩かれたのにこれはいいの?と疑問に思わざるを得ません。

*2:ちなみに人生で初めてドラァグクイーンのショーを見たのは大学1年生のとき。近隣の大学の学祭に遊びに行ったら友達が客引きをしていたので見ることになったバビ江さんのショーでした。もう20年以上前のことでバビ江さんも当時は学生でした。今思うと貴重な体験ですね。