最近頻繁に使われるようになった言葉「Social distancing」

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、「Social distancing」という言葉がよく使われるようになりました。

 

Merriam-Webster dictionaryの定義では、「感染症の流行時に感染を防ぐことを目的として、公の場所で人や物から通常よりも大きく物理的距離を取ること、または直接触れるのを避けること」となっています。友人との会話やインターネット上でのやり取りなども、個人的に見ている限りは「物理的距離を取る」という意味で使用されている場合がほとんどです。距離を取る対象が人であれば「対人距離を取る」という言い方が適切かなと思います。

www.merriam-webster.com

 

Macmillan dictionaryのオープンディクショナリー(Wikipedia同様、ユーザーが投稿できる)には「病気が広がる速度を遅くするために家から仕事をする、学校を閉鎖する、大きなイベントをキャンセルするといった対策を講じること」という定義が投稿されています。これは今年3月に投稿された定義のようです。

www.macmillandictionary.com

 

Wikipediaでは、Social distancingとは「感染症の拡大を止める、または拡大速度をゆるめるための薬学的ではない感染予防対策」であり、「感染者と非感染者が接触する可能性を低めることを目的とする」として、その具体的な措置として学校の閉鎖、職場の閉鎖、大規模イベントのキャンセル、ジムやプールなどのレクリエーション施設の閉鎖、検疫、防疫線などが挙げられています。混雑する場所を自主的に避けることや、通勤せずにリモートワークに切り替えることなどもこれにあてはまります。この場合は「社会的距離の確保」、「社会的距離戦略」などと言えるのかなと思います。

en.wikipedia.org

 

今のところ、日常的な会話で使用されている場合には「対人距離を取る」という意味で使われることが多く(カナダの場合は、2メートル離れましょうと言われています)、政府機関が使用する時にはもう少し広い意味で使われることが、どちらかといえば多いのかなという印象です。ただ、誰が使っているにしても文脈によって意味が変わりますので、日本語に訳す時には意味に応じて訳語を変える必要があります。

 

カナダのトルドー首相はこのようなツイートをしています。画像によれば、「Social distancing」という言葉は「COVID-19の拡大を制限するために、密接に接触する人数を制限する、他の人と2メートル離れる、不要不急の外出は避ける」ことを意味している、ということです。